嘗ての私の将来の夢は、新聞記者やラジオ、テレビなどマスコミ関係の仕事に就きたいと考えていました。それで、大学も文学部に入り、就職もマスコミ関係の仕事を探していました。

ところがある日、友だちから「自分は教員になりたいので、三重県の教員採用試験を受けるために実施要項をもらってきた。お前の分ももらってきたので、一緒に受けないか。」と言われました。

その時は、それほど教員になりたいとは思っていなかったのですが、友だちが、折角言ってくれるので、教員採用試験も受けることにしました。

教員採用試験は、大学の専攻上「中学校社会科」の教員を選択しました。

当日の試験の専門教養試験は、半分は社会科に関する虫食い問題で、半分は「江戸時代8代将軍の徳川吉宗の享保の改革について記述しなさい。」でした。

ラッキーだったのは、私の卒業論文は「享保の改革と貨幣改鋳」で、相当な記述をして埋めました。

お陰で、合格までこぎつけました。

夢に描いていたマスコミ関係の合格もないので、教員として就職することにしました。

県教育委員会にいた頃、採用面接で、「あなたは、なぜ教員になりたいか?」と聞いたことがありますが、「自分の小学校の先生が素晴らしい人で、憧れて」とか「中学校の先生の指導を、人生の師と仰いでいます。」などの言葉をよく聞きました。

第1の志望理由がそうであっても、「いい先生」というのは、子どもたちと、どのように向き合うかで決まってきます。

子どもは正直です。自分のことをしっかり考えてくれる先生を敏感に察知するのです。

子どもの頃からの夢を追って先生になる人や、ふとしたことで先生になる人もいます。

でも、子どもたちから見た「いい先生」というのは、自分のことを親身に思ってくれ、考えてくれる先生だと思います。