当時、赴任した中学校における部活動は、全員部活動の制度をとっていました。勿論、教師も、いずれかの部活動の顧問となりました。
私は、テニス部の顧問になりました。特に今までテニスをしていたわけではなく、機械的に顧問がいない部に割り当てられただけでした。
先輩の先生に「テニスは初めてなので、よく分からない。」と言うと、「生徒と一緒になって、汗を掻いていくうちに、顧問らしくなる。」と言われました。
確かに、1ヶ月もすると、ネットの近くに立ち、ボールをラケットで相手のコートに打ち込み、レシーブさせるフィーディングなるものは出来るようになり、顧問らしくなってきました。
毎日、生徒と汗を流すことも、楽しみの1つになってきました。
最近は、部活動で、体罰やしごき、いじめが、問題になるところもありますが、田舎の中学校だったため、和気あいあいとした部活動でした。
また、部活動で労働時間が多くなる話もありますが、独身時代ですから、生徒と共に過ごす生活に喜びを感じた時には、苦痛にはなりませんでした。
その部活動で気付いたことは、「後輩は、先輩の言うことをよく聞く」ということでした。
昔のことですから、目上の人を尊敬する風習もあったのでしょう。
後輩に聞くと「先輩の言うことは絶対です。」というのです。
好かれる先輩には、「あんな先輩になりたい。」「先輩に憧れる。」と後輩たちは言っていました。
実力がある程度あり、人間的に威圧感もなく、友達のように優しく接してくれる先輩は人気でした。
部活動は、学校生活の中で学年や学級の枠を超え組織されたものです。そこから人間関係を育み、社会性を身に付ける良さがあるのです。
後輩が、身近な先輩たちから学びとり、自分の人生に活かしていくことが、この部活動のメリットだと感じました。
思春期の子どもたちは、自分にないものを持っている人に憧れ、吸収しようとする力は常に持っています。
教師として、子どもたちが成長するこの時期、尊敬される先輩や憧れの先輩になれるように人格形成を培うとともに、尊敬や憧れを持つことの素晴らしさを教えていかなければなりません。