最初受け持った学年の生徒たちは、40名ほどでした。
その人たちの多くは、今、故郷の田舎を離れて、日本の各地で生活しています。
田舎に残ったのは数人ほどです。
それも、町から離れた山里に住む者の宿命かも知れません。
地域には、これといった産業がないので、生活するのには向いていないのかも知れません。
私のような老いた者にとっては、緑もあり空気も綺麗な所ですから、素晴らしい土地にみえます。
でも、若者にとっては、仕事も少なく、買い物に行くにも不便ですから、学校を出れば、みんな町へと出ていくのです。
私の妻も、この地から更に奥に入ったところで生まれ、高校から町へと出て来ました。
義理の兄も、愛知県の自動車のメーカーに就職し、今では愛知県で家も持っています。
教え子たちは、中学校にいる時から、外に目を向けて育ってきました。
彼らは、「いつか故郷を出ていくのだ」と思いながら学校に通っていました。
故郷も捨てがたいと思いつつも、将来の夢を町に馳せていたのです。
それだけに、みんなは独立心が旺盛なところがありました。
人を大切にし、人との繋がりは大切にしていました。
今でも、同窓会をすると懐かしがって、みんなが集まってくるのも、人懐っこさの表れだと思います。
そして、決断することは早く、ウジウジしてない所もありました。
それだけ、自分が社会で一本立ちをしようとする気持ちが強かったのだと思います。
強い人間に育ったのは、若い頃から「町に出て生活していくのだと」いう気持ちを、いつも持っていたからだと思います。
こういった自立する心を育て、大きな世界に羽ばたかせることも大切なことですね。
自分の気持ちを強く持てた教え子たちも、もう還暦を迎えます。
同窓会で、彼らの生き生きした顔を見ることも、私の楽しみの一つです。