教科の担当としては、1年生の社会科を担当していました。
嘗て皆さんが学んだように、3年生では「公民的分野」、2年生では「歴史的分野」、1年生では「地理的分野」の学習をします。
ところで、赴任した地域は、近隣の市までバスで1時間半、自家用車でも1時間ほどかかる田舎ですから、それほど街に行く機会はない生徒たちでした。
名古屋までは、バスと電車で乗り繋いでも半日ほどかかります。
奈良県は隣りあわせですが、高見峠を越えなくてはならず、バスはありません。
自家用車で、桜井市八木まで2時間弱かかり、電車で大阪や、奈良、京都に行くことも出来ますが、これも半日がかりです。
そんなこともあり、生徒は、他の知らない土地に興味もありました。
地理学習で、県名や地名を知ったり覚えたりすることも大切な勉強です。
日本の産業の勉強をしていた時に、産地の県名や、市町の名前を地図帳で探させたことがありました。
皆に探させて、探せた人は手を挙げることにした時に、彼らは競い合って探したものでした。
それ以来、休み時間や昼休の時間に、6人編成の班の中で、地図帳からの地名探しゲームが始まりました。
1人が地名を言って、他の生徒が探すのですが、1番は5点、2番は4点というように、得点も付けながら、ゲームにしてしまいました。
出題者もなかなか難しい地名を言うので、探しあぐねていたりして、盛り上がっていました。
1年の1学級から始まり、隣の学級にも広がって行きました。
隣の担任の先生が、「最近、皆、地図帳と睨めっこになっている。私の担当の数学の問題集と睨めっこにはなかなかなってくれない。」と、笑いながらもぼやいていました。
誰もが参加できて、探す楽しさと、その地にも夢を馳せていたのでしょうか、1年生のブームになりました。
生徒のちょっとした好奇心に火をつけると、盛り上がるものなのです。
生徒に「勉強をしなさい」と言うよりも、興味・関心を持たせて、主体的に学ばせることが大切ですね。