転任した中学校は、進路指導の取り組みに重点をおいていました。
中学校の時代から、将来のことを考えさせることにより、学校生活全般に自覚を促そうとしていたのでした。
週1時間の「学級活動の時間(学活)」を、本校では「学級の時間(学時)」として、独自の年間カリキュラムも作成していました。
学級活動は、「望ましい人間関係を形成し、集団の一員として学級や学校におけるよりよい生活づくりに参画し、諸問題を解決しようとする自主的、実践的な態度や健全な生活態度を育てる。」ものですが、進路指導を主にしながら、自主的、実践的な態度や健全な生活態度を育てようとするものでした。
4月に入学した生徒に、先ずは、自分の将来像を描かせます。
「将来就きたい職業は何か」「なぜ、その職業に就きたいと思うのか」「誕生から老後を迎えるまでの自分の人生の行く末を描こう」「就職するまでの年次計画を作成しよう」「そのためには、どういう努力が必要か」「どういう免許を取らなくてはいけないか」「どういう勉強が必要か」「どういう学習態度や生活態度が必要か」等を描かせながら、自分自身で調べ、保護者と話し合い、友だちとも話し合いを重ね、修正もさせていく方向で、1年間考えさせていくのです。
2年、3年と年度が上がっていくごとに、人との出会いや、人との話し合いを重ねていき、綿密な計画に練りあげるのです。
今は、こういったキャリア教育が盛んに行われていますが、45年前に生徒に考えさせる教育としては、画期的な教育でした。
先進的な教育を学ぼうと、市内の学校だけでなく、県内、県外からも、授業参観や研究会には、多くの教育関係者の参加がありました。
生徒たちは、自分を見つめることが出来、人に対しても自分の考えをしっかり言える自主的な態度が育ってきていました。