地理学習を進める中で、生徒たちにディスカッションをさせる時間を取りました。
「日本の工業は、今後どのように広げていくべきだと思うか」という課題を、生徒たちに考えさせました。
生徒の中からは、「今の工業地帯を、更に繋げる必要がある」という意見と、「工業がそれほど発展していない内陸部や過疎地に工業地帯を作っていくことが良い」という意見が出て来ました。
そこで、生徒たちには、どちらの意見を支持するかで別れて、ディベート方式で意見を闘わせるようにしました。
「今の工業地帯を繋げる」派では、京浜、中京、阪神の三大工業地帯を中心に、海岸沿いを更に伸ばしていくことの必要性を説いていました。
「貿易にも利点がある」「工業の繋がりが密接になる」「労働者も確保しやすい」「交通の便が良い」等が挙がりました。
「内陸部や過疎地に工業地帯を」派は、東北地方や、甲信越地方、中国地方、九州地方等の活用を説いていました。
「土地が安い」「出稼ぎに行かなくても済む」「これからの事を考えて道路網を整備する」「長野県の精密機械などの産業が高まる」「自然の豊かな山や川の下、良い製品が出来る」等が意見として出ました。
意見の応酬もありました。
最後に、授業を受けて、「どちらの意見に心を動かされたか」を聞きました。
結局、2/3の生徒が、「今の工業地帯を繋げる」派に軍配を挙げました。
その後、「今の工業地帯を繋げる」派は、「僕ら、勝ったね」と言い、「内陸部や過疎地に工業地帯を」派に「お前ら、負けた」と言い放ちました。
しょんぼりする「内陸部や過疎地に工業地帯を」派。
生徒の言葉に、拙さを感じ、私から、「これからの日本の工業を夢に描いてもらったのだから、どうなるかも分からない、これは「勝った負けた」の問題ではないのだ。両派とも現実を見据え、将来の像まで考えてくれたから、素晴らしい意見の交換だった」と締めくくりました。
生徒たちは、ゲームのように勝負にかけてしまっていたことや、良い意見を抑えるような、どちらかを選ばせるようにした私の進め方にも反省すべきことがあったと振り返りました。
生徒たちの志向を推し量れなかったことや、安易な発言が、教師として「まだまだだな」と感じた授業でした。