1年生で担任をした女生徒のことです。
他の生徒と比較すると、身長も高く、体も大きい生徒でした。
友達も多く、しっかりしていたこともあり、皆からはお姉さん的な存在で、同性からは相談もされていました。
その生徒が、「先生、相談があります。」と言ってきました。
「皆からは、相談もされるのですが、私は、誰に相談をしていいか分からず、先生に相談させて欲しいのです。最近、私は将来どうなっていくのか、心配になってきました。」と言うのです。
「最近、大好きだったお祖母さんが亡くなり、不安になってきました。」
死ぬことの不安もありますが、私はこれからどうなっていくのか、「私の将来は」と考えると不安になってきたと言うのです。
きっと、お祖母さんを亡くした悲しみが、喪失感となり、どう立ち向かっていけばいいのか分からなくなったのだと思いました。
子どもから大人になりかけの思春期の頃は、大人になる不安が台頭してきます。
彼女の場合、大好きだったお祖母さんの死で、更に、気持ちの落ち込みが深まったのだと思います。
「将来のことは、分からないということで、不安になることもある。でも、そのことばかり考えていると行動も前に進まなくなる。今、君は中学生で、将来のために勉強することは、今の君の仕事です。きっと亡くなられたお祖母さんも、君の将来に夢を描いてみえたと思う。お祖母さんの夢の為にも、一生懸命勉強して、良い学校に入り、良い仕事に就くようにしなくてはいけない。」と返しました。
直ぐには、納得はいかないようでしたが、「うん、うん。」と頷いていました。
中学生は多感な時期です。思い悩むことも生きていく上では大切なことです。でも、若い彼女らのような年代には、前に向けて進ませることを大切にしないといけない時期だと感じました。
どうにもならないことと向き合っていて苦しい時、思い切って相談したいと言われた時、相談された人は、生きていくことに、そっと背中を押してあげることが大切だと思います。
今、彼女は、結婚して県外に住んでいます。
お子さんも産み、幸せに暮らしていると、毎年年賀状に書かれています。