採用2年目の冬が近づいて来た頃、初めて担任をした生徒たちの代表が、職員室でストーブに当たっている私の所にやってきました。
「先生、私たちは、もう直ぐ受験です。2年生で教えてもらっていた国語科と社会科のところの、受験用の傾向と対策を、皆に教えていただけませんか。」と言ってきました。
「自分たちで受験勉強をしていますが、どこに受験勉強の強弱をつけたらいいのか分かりません。学級会でそのことを話していた時に、担任の先生から、『自分たちが苦労していることを、先生方からアドバイスをしていただく方法がある。』と言われ、皆で相談した結果、今まで教えていただいた先生方に、受験の傾向と対策を教えてもらえないかという結論になりました。」と言うのです。
私だけでなく、今まで教えていただいていた5教科の先生方に申し出たようです。
受験前の冬休みなどを中心に講義が行われました。
私の教える所は、1年生の時に教えていただいた先生が転任されていたこともあり、1・2年生の国語科と社会科を受け持つことになりました。
国語科の1日と、社会科の1日の講義になりました。
過去の入試などを見ながら、特に気をつけたい重要な所を講義しました。
講義の後、受験までは、教えた内容を基に、生徒たちなりに勉強したと聞きました。
結果、県立高等学校の入学試験には、講義したところが出たようで、入試から帰ってきたその足で、私の所にやって来て、「先生、ありがとうございました。教えていただいていたところがたくさん出ていました。しっかり書くことが出来ました。」とお礼に来てくれました。
先生方の提案で、受験用の補習はよくされますが、私が勉強になったのは、3年生の担任の先生が、生徒自身の課題にしたことです。
生徒の課題にすることで、受験生の切実感と教わる真剣さを生徒に持たせることが出来たということです。
自分たちの道は、自分たちの力で切り拓かせようとする教師の姿勢を学びました。