採用から2年目に入り、学校が推進している班学習を、いかに授業で活用するかということを、私の課題としました。
当時の1年生の社会科の地理的分野は、日本を大観させる日本の国土の位置や自然などを学んだ後、地方区分から、日本の各地方の特色を、学習することになっていました。
(今は、逆に、世界の諸地域の学習から入り、日本の各地方の学習に目を向けさせる教育課程になっています。)
九州地方、中国・四国地方、近畿地方、中部地方、関東地方、東北地方、北海道地方の7地方に区分されていました。
そこで、生徒たちに自分たちが調べてみたい地方を選ばせ、班に割り振ることにしました。
6つの班ですから、1つだけ残った地方がありました。
残った地方は、調べ学習の練習台にしました。生徒たちが調べたことを、私から発問し、まとめあげる調べ学習の基本となる授業をしました。
班での調べ学習は、地方の気候や地形などの自然や、農業、林業、水産業、工業、商業、観光などの産業、更に、歴史など特色ある事柄についても調べることを指示しました。
生徒たちは、受け持った地方のことを徹底的に調べて、発表と、他の生徒からの質問などの2時間を、班が受け持つことにしました。
放課後や休日に、班員たちが、学校の図書室や班員の家、公民館などに集まり、調べたものを、黒板の代わりに模造紙などにまとめあげて書いたりしていました。
生徒たちは、その地方の特色を押さえるだけでなく、予想される質問の回答も作らなくてはなりません。
また、各班にはリーダーとなる人物が入っていたので、それぞれの班活動に格差はあるものの、ある程度のことは出来ていました。
発表は、まだ中学1年生なので教科書の記述を中心に、更に詳しく調べたものや、グラフを付け加えたり、産地の市町を追加したりするものになっていました。
班の発表は、皆で行うことが原則にしてあったので、代わる代わる班員が交替で発表していました。
おとなしい生徒の時は、「もう少し大きな声で言ってください。」と言われたりする場面もありました。
特色を凝らした発表は、班で独自性も出てきて、「この地方のおすすめコーナー」も新設されていた班もありました。
質問も慣れてくると、発表班が知っているかを試すような質問もありました。
でも、さすが、生徒たちは、分からない時は、「知りません。ごめんなさい。また調べておきます。」と素直に返していました。
調べ学習は、予習・復習の宿題よりも、自主的で協力的な学習が出来たのではないかと思いました。
また、自らが発表し、受け答えもすることで、コミュニケーション能力の向上も養うことが出来たと思います。
生徒たちが、調べることにより、興味・関心を持ち、学ぶ喜びを持てる試みになりました。
2学期は、世界の諸地域で、調べ学習と発表の場を作りました。